GameFiの最大の特徴の一つが「プレイ・トゥ・アーン」（Play-to-Earn、P2E）というモデルです。この仕組みは、プレイヤーがゲームをプレイしながら仮想通貨やNFTなどのデジタル資産を獲得し、それらを現実世界で使える報酬に変えることができる点にあります。ゲームを通じて楽しむだけでなく、経済的な報酬を得られるという魅力が、従来のゲームとは大きく異なる部分です。
GameFiの「プレイ・トゥ・アーン」モデルの仕組み
P2Eモデルでは、プレイヤーがゲーム内でさまざまなタスクやバトルに挑戦し、報酬としてトークンやNFTを獲得します。たとえば、人気の「Axie Infinity」では、プレイヤーは「アクシー」と呼ばれるキャラクターを使って他のプレイヤーとバトルを行い、勝利すると「スムーズ・ラブ・ポーション（SLP）」というトークンを手に入れることができます。このSLPトークンは、他の仮想通貨に交換でき、最終的には法定通貨（ドルや円など）に変換することも可能で。
また、アクシーを新たに繁殖させてNFTとして取引することも可能で、これによりプレイヤーはさらなる収益を得ることができます。特に、ゲーム内で得られるNFTは希少性が高いため、高額で取引されることもあります。たとえば、フィリピンではこのモデルを活用して、フルタイムの収入源としているプレイヤーも存在します。実際、COVID-19の影響で経済的に困難な状況にあった人々が、ゲームをプレイすることで生活費を稼ぐことができたという事例も報告されています。
P2Eモデルの具体例：Axie InfinityとThe Sandbox
Axie Infinity以外にも、「The Sandbox」や「Decentraland」などの有名なGameFiプラットフォームがあります。The Sandboxでは、プレイヤーはゲーム内で仮想土地（ランド）を購入し、その土地を利用して他のプレイヤーに貸し出したり、イベントを開催して収益を得ることができます。これもまた、ゲームをプレイしながら実際に稼ぐことができる典型的な例です。
このP2Eモデルは、まさに「自分の趣味や楽しみを仕事にする」ような感覚です。たとえば、日々の通勤時間にスマホで軽いゲームをしていたとして、そこからちょっとしたお小遣いを得ることができるとしたら、より多くの人々がそのゲームを続けたいと感じるでしょう。ゲームをプレイすることが単なる娯楽から、収益を生み出す行為へと進化することで、ゲーム業界全体にも大きなインパクトを与えています。
P2Eゲームの魅力：リスクと報酬のバランス
しかし、P2Eモデルには注意すべきリスクも存在します。たとえば、初期投資が必要なゲームも多く、NFTやゲーム内トークンの購入が必要になるケースがあります。このため、プレイヤーはその投資を回収するまでの時間を見極め、ゲームの経済が長期的に持続可能であるかを慎重に判断する必要があります。また、市場の変動やゲーム内通貨の価値が不安定な場合、思ったような報酬を得られないリスクもあるのです。
たとえば、Axie Infinityでは、ゲーム内トークンのSLPの価値が一時期非常に高騰しましたが、その後価値が下がり、多くのプレイヤーが投資を回収できなくなる事態も発生しました。このように、P2Eモデルは非常に魅力的ではあるものの、リスク管理が非常に重要であることも理解しておく必要があります。
新しい収益モデルとしてのGameFi
従来のゲーム業界と比較して、GameFiは単なる娯楽にとどまらず、収益を生み出すプラットフォームへと進化しました。これにより、プレイヤーはゲームを楽しみながら報酬を得られる新しい形のエンターテインメントが生まれています。また、将来的にはより多くのゲームがこのP2Eモデルを採用し、従来のゲーム会社もGameFi技術を取り入れる可能性が高いとされています。
